事業用(緑ナンバー)のトラックを手放すとき|運輸局への届出と、営業ナンバーのまま売れるか

この記事のまとめ

  • 緑ナンバーのトラックを手放すときは、名義変更の前に、運送事業者として運輸支局へ事業計画の変更(事業用自動車の数の減少)を事前に届け出る
  • 届出のあと運輸支局から事業用自動車等連絡書を受け取り、登録の窓口に出す書類へ添える。連絡書の有効期限は発行の日から1か月とする様式がある
  • 減車で営業所の配置台数が基準(九州運輸局の処理方針では営業所ごと・種別ごとに5両以上)を下回る場合は、届出ではなく認可の扱いになるため、先に運輸支局へ聞く
  • 買い手が貨物自動車運送事業の許可を持つ運送事業者なら、買い手側も増車の届出と連絡書の手続きをして事業用として使う流れが、運輸支局の案内で確かめられた。許可を持たない相手の場合の扱いは確かめられなかった
  • 全車を手放して事業をやめるときは、法律で事業の廃止を30日前までに届け出ることになっている。様式と窓口は運輸局・運輸支局の案内で確かめる

事業用(緑ナンバー)のトラックを手放すときは、車を売る手続きの前に、運送事業者として運輸支局へ「事業用自動車の数の変更」を事前に届け出て、「事業用自動車等連絡書」を受け取る流れになります。名義変更の書類そのものは普通のトラックと同じ部分が多く、そこに事業者としての届出が一つ前に入る、という形です。

営業ナンバーのまま売れるかどうかは、買い手によって分かれます。貨物自動車運送事業の許可を持つ運送事業者が買う場合は、買い手側も増車の届出をして事業用のまま使う手続きが、運輸支局の案内で確かめられました。許可を持たない相手が買う場合のナンバーや用途の扱いは、公式の案内を確かめられなかったので、この記事では書いていません。運輸支局に聞く前提で読んでください。

この記事は、貨物自動車運送事業法・同法施行規則、国土交通省の各運輸局・運輸支局の公式ページで確かめた内容だけをまとめています。個別の法律判断はせず、迷う点は管轄の運輸支局や行政書士などの相談先に聞く前提で書いています。名義変更の書類はトラックを売るときに要る書類に、車検切れや動かない車の廃車は車検切れ・動かないトラックは売れる?にまとめています。

最初に確かめる:自分が届出をする側か

緑ナンバーは、他人の需要に応じて有償で貨物を運ぶ「一般貨物自動車運送事業」の許可を受けた事業者の事業用自動車に付くナンバーです。貨物自動車運送事業法の第2条第2項は、この事業を「他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業」と定め、第3条は、経営しようとする者に国土交通大臣の許可を求めています。

手放す前に、車検証と事業の書類で次を見ておきます。

軽トラックを使った黒ナンバー(貨物軽自動車運送事業)は、法律上の事業の種類が別です。この記事の中心は緑ナンバーで、黒ナンバーは後ろの節で短く触れます。

売る側の届出:事業計画の変更(事業用自動車の数の減少)

貨物自動車運送事業法の第9条は、事業計画の変更には国土交通大臣の認可が要るとしたうえで、事業用自動車に関する国土交通省令で定める変更は、あらかじめ届け出ればよいとしています。同法施行規則の第6条は、その届出の対象に「各営業所に配置する事業用自動車の種別ごとの数の変更」を挙げています。ただし、変更後の事業計画が許可の基準に適合しないおそれがある場合は、この届出の対象から外れます(次の節)。

事前届出書に書く内容は、施行規則第6条第2項が定めています。

項目 内容
申請者 氏名または名称、住所、法人は代表者の氏名
変更しようとする事項 新旧の対照を明示する
理由 変更を必要とする理由
添付書類 許可申請のときの書類のうち、変更に伴って内容が変わるもの

法令では「あらかじめ」届け出ることまでが決まっています。ここから先、様式の名前、窓口、出し方は運輸局・運輸支局ごとの案内になります。確かめられた範囲は次のとおりです。

運輸局・支局 確かめた内容(2026-11-07)
北海道運輸局 公示(令和7年8月1日改正)で、事業用自動車の数の変更は事前届出。届出者はあらかじめ届出書を提出し、繁忙期などはできる限り実施予定日より前に出すよう努めるとされている
関東運輸局 公示で、減車の事前届出は、減車で「公示基準」の車両数未満にならないものとされている。届出者はあらかじめ届出書を提出し、繁忙期などはできる限り実施予定日より前に出すよう努める。ここで確かめたのは平成27年改正の版
北陸信越運輸局 長野運輸支局 車両を増やす・減らす・変更するときは、様式で届出。届出書は提出用と控えの計2部、車検証(コピー可)、事業用自動車等連絡書。窓口に出すか郵送。連絡書は、窓口提出ならその場で渡される
北陸信越運輸局(石川運輸支局掲載の様式9) 認可申請と届出が一つの様式。変更の区分に「配置車両数」「事業用自動車の種別ごとの数」「事業廃止」「事業休止」がある
東北運輸局 秋田運輸支局 様式に「一般貨物自動車運送事業の事業計画変更届(増減車届)」が掲載されている
中部運輸局 一般貨物自動車運送事業の増減車の届出の Excel 様式が掲載されている

届出が事前の手続きなので、車を引き渡す日(実施予定日)より前に、窓口が受け付ける形で出しておくのが基本です。何日前までという日数は、北海道・関東の公示には定めが見つかりませんでした。管轄の運輸支局に聞いてください。

営業所どうしで車を移す場合は、短期間でも、それぞれの営業所で増車・減車の手続きをするとされています(北海道・関東の公示)。例外として挙げられている取扱いは運輸局で違い、北海道は国土交通省の令和6年8月30日付けの通達(営業所間の運転者・車両の移動の弾力化)、関東は関東運輸局の平成5年11月11日付けの通達(繁忙期の営業所間の車両移動の弾力化)を挙げています。また、事業用自動車の相互使用を協定書などで行う場合は、事前届出は要らないとされています。売却とは別の話ですが、貸し借りで済ませる選択肢を考えている人は、この点も運輸支局に聞く材料になります。

台数が基準を下回るとき、全部手放すとき

営業所の台数が基準を下回る減車は、認可の扱い。 北海道運輸局の公示は、施行規則第6条の「許可の基準に適合しないおそれがある場合」にあたる例として、変更後の事業用自動車の数が「公示基準」に適合しない場合を挙げています。減車では、災害などで車両が使えなくなり、代わりの車両が確保されるまでの間に限って認められる、と書かれています。関東運輸局の公示も、減車の届出は公示基準の車両数未満にならないことを条件にしています。

その基準の数字は、九州運輸局の処理方針で確かめました。営業所ごとに配置する事業用自動車の数は、施行規則第2条で定める種別(普通自動車・霊きゅう自動車)ごとに5両以上です。けん引車と被けん引車は、合わせて1両と数えます。霊柩運送、一般廃棄物運送、橋でつながっていない島しょ地域の事業は、この数によらないことがあるとされています。確かめたのは九州運輸局が掲載している版(最後の改正は令和元年10月17日)なので、ほかの運輸局の公示は、それぞれで確かめてください。

つまり、5両ちょうどの営業所から1両だけ売る、といった手放し方は、届出では済まない場合があります。この判断は個別の事情で変わるため、売る前に運輸支局の輸送の担当に聞くのが近道です。

全車を手放して事業をやめるとき。 貨物自動車運送事業法の第32条は、一般貨物自動車運送事業者が事業を休止または廃止しようとするときは、30日前までに国土交通大臣へ届け出なければならないとしています。長野運輸支局のページにも、事業をやめる場合の届出の案内があり、同じ事業用自動車等連絡書が出る流れが書かれています。台数を減らす届出と、事業をやめる届出は別の手続きです。北海道・関東の公示は、休止・廃止の届出は事業の全部を休止・廃止する場合に限るとし、事業の一部の休止・廃止は事業計画の変更の手続きによるとしています。

事業用自動車等連絡書の流れ

連絡書は、運送事業者が運輸支局の輸送の担当での申請や届出を終えたことを証明する書類です。京都運輸支局の案内によると、緑ナンバー・黒ナンバー・レンタカーについて、登録の窓口で手続きするときに必要になります。国土交通省の自動車検査登録総合ポータルも、名義変更の提出書類として、事業用自動車等連絡書を「自動車運送事業等の用に供する自動車の場合に限り必要」と案内しています。

京都運輸支局が示す発行の流れは次の4段階です。

  1. 運輸支局での申請を終える(許可を受ける、届出を出す)。同日中に減車と増車が済む代替は、申請は要らないとされている
  2. 記入した連絡票を、車の諸元が分かる書類とともに輸送の担当に出す。中古車は車検証(または一時抹消登録証明書、登録識別情報等通知書)、コピー可。電子車検証は、閲覧アプリで出した自動車検査証記録事項を添える
  3. 輸送の担当が申請内容と連絡票を確かめて、問題がなければ経由印を押す
  4. 経由印のある連絡票を、登録の窓口に出す書類に添えて登録を終える

連絡書の様式には「使用しようとする自動車」と「廃止(減車・まつ消等)する自動車」の欄があり、手放すトラックは後者に書きます。事案発生理由の欄には、事業計画の変更(増車・減車・代替など)、休止、廃止などが並んでいます。

運輸局ごとの違いとして、次の点を確かめました。

点 確かめた内容
有効期限 九州運輸局が掲載する様式には「発行の日から1ヶ月」とある
再発行 同様式の注意書きには「この連絡書は、再発行しない」とある。一方、京都運輸支局は、1か月を過ぎたら輸送の担当で再度経由印を押してもらうよう案内している
渡し方 京都運輸支局は、基本は窓口、郵送は郵送代金を全額負担する場合に限り対応。長野運輸支局は窓口提出ならその場、郵送は原則届いた日に返すとしている

有効期限の1か月は、引き渡しの日取りに関わります。連絡書をもらってから名義変更の書類がそろうまで時間が空くと、期限が切れることがあります。書類がそろう見通しを立ててから、連絡書を受け取るほうが無駄が出ません。

営業ナンバーのまま売れるか

売ること自体と、営業ナンバー(事業用)のまま引き継げることは別の話です。確かめられた範囲を、買い手の種類で分けます。

買い手 公式の案内で確かめられたこと
貨物自動車運送事業の許可を持つ運送事業者 買い手は、車両を増やすときの届出(長野運輸支局の案内では事業計画変更届出書、増車の場合は宣誓書も)を出し、連絡書を受けて登録の窓口で手続きする。売る側の減車の届出と連絡書も別に要る
許可を持たない法人・個人 事業用として運送の仕事に使うには、法第3条の許可が要る。事業用から自家用(白ナンバー)にするときの書類や順序は、今回確かめた公式ページに載っておらず、この記事では書かない
車を買い取る販売業者など 同じく、事業用のままの扱いは確かめられなかった

買い手が運送事業者のとき、売る側と買う側で別々に届出が要る点は、段取りに関わります。売る側が減車の届出を出し、連絡書を受け取る。買う側が増車の届出を出し、連絡書を受け取る。そのうえで名義変更の書類(譲渡人が実印を押した譲渡証明書、新旧所有者の印鑑証明書など)を、登録の窓口に出す、という並びです。2つの連絡書を窓口でどう扱うかは、登録の窓口の案内に従ってください。

買い手がまだ決まっていないときは、売る日の見込みを立てる前に、運輸支局へ「この車は事業用のまま引き継ぐのか、自家用に直すのか」を伝えて、必要な届出と書類を聞いてください。

黒ナンバー(軽貨物)の場合

軽トラックで貨物軽自動車運送事業をしている場合は、手続きが違います。大阪運輸支局のよくあるお問い合わせ(R7.4時点)によると、車両を減らすときは「貨物軽自動車運送事業経営変更等届出書(増減車届)」を運輸支局の輸送担当に出し、車両が0両になるときは廃止の届出になります。使用者名義を変えるときは、現在の使用者が減車届(1台のみの場合は廃止届)、次の名義の人が増車届(初めて黒ナンバーを付ける場合は経営届)を出す、とあります。運輸支局での手続きのあと、軽自動車検査協会で車検証の記載変更などをする流れです。ほかの運輸局での取扱いは、確かめていません。

自分でできること、窓口に聞くこと

内容
自分でできること 車検証で使用者・使用の本拠の位置・所有者を見る/配置台数を数える/運輸局のサイトで届出の様式を入手する/名義変更に使う印鑑証明書などをそろえる
運輸支局の輸送の担当に聞くこと 減車の届出で足りるか、認可の扱いになるか/届出を出す期限と窓口/全車を手放すときの廃止の届出/連絡書の有効期限と渡し方
運輸支局の登録の窓口に聞くこと 名義変更の書類(売る側・買う側)/事業用のまま引き継ぐときの連絡書の扱い/自家用にするときの手続き
行政書士などの相談先 届出の書類づくりの相談。報酬は事務所ごとに違うので、頼む前に確かめる

次にすること

  1. 車検証で、使用者・使用の本拠の位置(営業所)・所有者を確かめ、営業所の配置台数と、手放したあとの台数を数える
  2. 台数が5両などの基準に近いときは、売る前に、輸送の担当へ「届出で足りるか」を聞く
  3. 買い手が決まっているなら、運送事業者か、事業用のまま引き継ぐかを確かめ、買い手側の増車の届出の予定も聞く
  4. 運輸支局の輸送の担当に事前届出と連絡書を出し、期限(発行から1か月とする様式がある)を見ながら、登録の窓口で名義変更を進める。書類はトラックを売るときに要る書類で確かめる
  5. 車検が切れているなら、車検切れ・動かないトラックの手放し方で、売る・一時抹消・解体の分かれ道を先に見る

届出の様式や公示は改定されることがあります。この記事の内容は2026年11月7日に各公式ページで確かめたもので、手続きの前に、管轄の運輸支局の最新の案内で確かめてください。

出典(確かめた日)