トラクターを手放すときの手続き|小型特殊のナンバーの廃車と、農機具の処分の方法

この記事のまとめ

  • 農耕作業用のトラクターは、最高速度が35km/h未満なら小型特殊自動車、そうでなければ大型特殊自動車に分かれる(道路運送車両法施行規則の別表第一)
  • 小型特殊自動車のナンバーの廃車は、市区町村の税務の窓口で、廃車申告書兼標識返納書にナンバーと本人確認書類を添えて行う(浜松市・柏市の案内。柏市は標識交付証明書も挙げている)
  • 廃車や譲渡の申告は、柏市と藤沢市の案内で30日以内。軽自動車税は4月1日の所有者に1年分かかり、月割りはない(藤沢市の案内)
  • 公道を走らせていなくても、所有していれば課税の対象になる(彦根市の案内)
  • 農機具は粗大ごみで扱わない市があり、農業で使ったものは産業廃棄物になる扱いの市もある。処分の前に市区町村の担当課で確かめる

トラクターを手放すときは、まず車体の区分を確かめます。農耕作業用で最高速度が35km/h未満なら小型特殊自動車で、手続きの窓口は市区町村の税務の担当課です。ナンバーを持って行き、廃車の申告をします。35km/h以上なら大型特殊自動車で、窓口も税の扱いも変わります。

廃車の申告は、柏市と藤沢市の案内で30日以内とされています。軽自動車税は4月1日の所有者に1年分かかり、年度の途中で廃車しても戻りません。また、農機具は粗大ごみで扱わない市があり、農業で使っていたものは産業廃棄物になる扱いの市もあります。この記事では、国土交通省・e-Gov法令検索・各市の公式資料で確かめた内容を整理しました。売値や買取の可否は公的な資料がないため扱いません。

手放す前に、トラクターの区分を確かめる

トラクターの手続きは、まず「小型特殊自動車」か「大型特殊自動車」かで分かれます。区分は、e-Govで公開されている道路運送車両法施行規則の別表第一に書かれています。

つまり農耕作業用は、車体の大きさではなく最高速度で分かれます。彦根市の案内も、乗用装置があって最高速度35km/h未満なら小型特殊自動車、35km/h以上なら大型特殊自動車と説明しています。フォークリフトなどの農耕作業用以外の特殊自動車は、長さ4.7m以下・幅1.7m以下・高さ2.8m以下で、最高速度が15km/h以下のものが小型特殊自動車とされています(別表第一)。

最高速度が何km/hかは、この記事では個々のトラクターについて判断できません。車体の銘板や取扱説明書、販売店、メーカーの案内で確かめてください。

区分で変わること

小型特殊自動車(農耕作業用) 大型特殊自動車
農耕作業用の分かれ目 最高速度35km/h未満 最高速度35km/h以上
手続きの窓口 市区町村 運輸支局
税の種類(彦根市の案内) 軽自動車税(種別割) 固定資産税(償却資産)

窓口の分け方は、国土交通省の区分表に書かれています。市区町村の欄に小型特殊自動車と原動機付自転車が、運輸支局の欄に大型特殊自動車などが挙がっています。税の種類は彦根市の案内によるもので、ほかの市区町村の取り扱いは、それぞれの公式ページで確かめてください。

この記事で手続きを詳しく書くのは、小型特殊自動車のほうです。大型特殊自動車を廃車にするときの運輸支局の書類は、この記事では確かめていません。運輸支局に先に聞いてください。運転に必要な免許は、道路交通法の区分で決まります。国土交通省の区分表にも、検査・登録・届出は道路運送車両法の分類、運転免許は道路交通法の分類を使うとあり、この記事では免許は扱いません。

小型特殊自動車のナンバーを廃車にする手続き

農耕作業用の小型特殊自動車を廃車にするときは、市区町村の窓口に申告して、ナンバーを返します。ここでは、浜松市と柏市の案内で確かめた内容をまとめました。

項目 浜松市の案内 柏市の案内
窓口 市民税課の軽自動車税グループのほか、区役所などの窓口。直接窓口で手続きする 市民税課または沼南支所
出す書類 軽自動車税廃車申告書兼標識返納書(原動機付自動車・小型特殊自動車) 軽自動車税廃車申告書兼標識返納書(原動機付自転車・小型特殊自動車)
持ち物 ナンバープレート、本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、在留カードなど) 標識交付証明書(紛失などで手元にない場合は省略可)、ナンバープレート、本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)
手数料 無料 ページに記載なし
受け取るもの 廃車申告受付書 直接の記載なし(廃車申告受付書の再交付の案内はある)
代理 代理人による手続きも可能 委任状が必要(販売店・修理業者、または市内在住で同一世帯の親族以外が行く場合)

浜松市の案内では、受付は平日の午前8時30分から午後5時15分まで、所要時間は数分とされています。柏市のページには、一時的に使わない、または故障で使えないことによる廃車(いわゆる一時抹消)はできない、とあります。普通車の一時抹消とは扱いが違うので、動かないトラクターでも「使用を止めるだけ」の手続きはない市がある、と考えておくと混乱しません。

ナンバーをなくしたとき

柏市の案内では、ナンバーが紛失・盗難・破損で手元にないときは、廃車の持ち物のうちナンバーを省けます。そのかわり、警察への盗難届または遺失届が要り、手続きのときに届出をした警察署・日付・受理番号が必要です。

期限

廃車や譲渡の申告の期限は、柏市と藤沢市の案内で30日以内です。浜松市のページには期限の記載がありませんでした。期限は市区町村ごとの扱いなので、手放す日が決まったら、住所地の市区町村に確かめてください。

使っていなくても税金がかかる:軽自動車税と4月1日

彦根市の案内によると、小型特殊自動車は、公道を走らせているかどうかに関わらず、所有していれば課税の対象になり、ナンバーの取得が必要です。納屋に置いたままのトラクターでも、廃車の申告をしないかぎり課税が続く、という意味になります。

税のしくみは、藤沢市の案内が分かりやすくまとめています。

浜松市の案内にも、4月1日現在の所有者に課税されるとあります。年税額は、今回確かめた藤沢市のページの税率表の数字です。他市の税額は、それぞれの公式ページで確かめてください。

この仕組みから分かる実際の動き方は一つです。手放すと決めたトラクターは、4月1日より前に廃車か譲渡の申告をしておけば、次の年度の課税を避けられます。4月1日の時点で所有者のままだと、その年度分は納めることになります。

売る・譲る場合は、譲渡の申告が要る

人に売ったり譲ったりするときは、廃車ではなく譲渡の申告をします。柏市の案内に、必要なものが載っています。

これは柏市の例です。柏市の表では、市外の人へ譲渡する場合は「譲渡」ではなく「廃車」の欄に入っています。ナンバーの扱い(そのまま使うのか、新しく交付するのか)は、譲り受ける人の住所の市区町村でも変わります。彦根市の案内では、ナンバーの交付申請に、販売証明書、譲渡証明書、廃車申告受付書などが要ります。譲渡証明書には、柏市の案内のとおり、渡す側と受け取る側の住所と氏名が要ります。取引の前に、渡す側と受け取る側のどちらの住所の窓口に出すのかを、市区町村に聞いておくと確かです。

買取の価格や、いくらで売れるかは、公的な資料がないためこの記事では書きません。値段の話は、取引する相手との間で決めることです。

農機具の処分:粗大ごみに出せない市がある

トラクターに限らず、耕運機や農機具をごみとして出すときは、市区町村のルールを先に確かめます。今回確かめた2つの市は、扱いが違いました。

市 農機具の扱い
刈谷市(市民だより2022年2月15日号) 粗大ごみとして処理できないものに「農機具」が挙がっている。販売店や専門業者に相談するよう案内
上越市(ごみの出し方の冊子、2018年作成) 家庭用の農機具は、市の処理先に持ち込める。事業活動(農業)に伴って生じたものは産業廃棄物になる。産業廃棄物処理業者に委託するよう案内(産業廃棄物の事務は新潟県の所管と書かれている)

上越市の同じ冊子には、市で収集しない主なものとして、事業活動(農業を含む)で出たごみや、厚みが3mmを超える鉄製品(モーター、エンジンなど)も挙げられています。

両方とも古い資料なので、現在も同じ扱いかは、各市に確かめてください。ここから言えるのは、農機具の扱いは市区町村で違い、同じ市でも「家庭で使ったもの」と「農業で使ったもの」で分かれることがある、という点です。この記事では、全国の市区町村の扱いが同じだとは書きません。

農林水産省などの国の資料で、農機具の廃棄の扱いを全国共通で定めたものは、今回の調査では見つかりませんでした。そのため、国の決まりとしては書かず、市区町村の案内だけを根拠にしています。

解体や引き取りの相談先

粗大ごみに出せない場合の相談先として、刈谷市の案内は「販売店や専門業者」を挙げています。上越市の案内は、農業で使った機械については産業廃棄物処理業者への委託を挙げています。どの業者が引き取るのか、費用はいくらかといった点は、この記事では確かめていません。業者を選ぶ前に、住所地の市区町村の廃棄物担当課に、機械の種類と、家庭で使ったのか農業で使ったのかを伝えて、どの扱いになるかを聞いてください。

自分でできること、窓口に聞くこと

内容
自分でできること 銘板や取扱説明書で最高速度を調べる/ナンバーの有無と、軽自動車税の納税通知書を手元で見る/廃車申告書や譲渡証明書の書式を市区町村のページで入手する
窓口に聞くこと 小型特殊か大型特殊かの区分に迷うとき(市区町村、運輸支局)/廃車・譲渡の申告の期限(市区町村)/ナンバーをなくしたときの書類(市区町村、警察)/親など亡くなった人の名義のとき(市区町村)/農機具をごみとして出せるか、産業廃棄物の扱いか(市区町村の廃棄物担当課)

名義人が亡くなっている場合の申告の仕方は、今回の資料では確かめられませんでした。そのため、書類の内容は書いていません。トラクターの名義変更の相続については、普通車やトラックの例をトラックを売るときに要る書類にまとめていますが、小型特殊自動車は窓口が違うので、そのまま当てはめず、市区町村に聞いてください。

次にすること

  1. トラクターの最高速度を調べ、小型特殊自動車か大型特殊自動車かを確かめる
  2. 小型特殊自動車なら、住所地の市区町村の税務の窓口に電話して、廃車・譲渡の申告の期限、必要な書類、ナンバーの扱いを聞く
  3. 売る・譲る場合は、渡す側と受け取る側のどちらの窓口に出すかを確かめ、譲渡証明書を用意する。廃車にする場合は、ナンバーと本人確認書類を持って申告し、廃車申告受付書を受け取る
  4. 4月1日より前に手続きを終えるかどうかを、日程から決める。4月2日以降だと、その年度の軽自動車税は納めることになる
  5. 解体や処分をするなら、市区町村の廃棄物担当課で、家庭用か事業用かの扱いを聞いてから業者を探す。動かない車両の運び方や登録の抹消は、普通車やトラックの場合を車検切れ・動かないトラックの記事に書いたが、小型特殊自動車は手続きが違う点に注意する

手数料や期限は、市区町村ごとに違い、改定されることがあります。この記事の内容は2026年11月7日に各公式ページで確かめたものです。手続きの前に、住所地の市区町村の最新の案内を確かめてください。

出典(確かめた日)